諫早湾干拓事業訴訟 佐賀地裁の判決下る 

諫早湾干拓事業訴訟:5年間の開門命じる 漁業被害、一部認定−−佐賀地裁判決
 ◇堤防撤去は認めず
 国営諫早湾干拓事業(諫干)による潮受け堤防の閉め切りで漁場環境が悪化したとして、佐賀、福岡、熊本、長崎の有明海沿岸4県の漁業者ら約2500人が国を相手取り堤防撤去や常時開門を求めた訴訟の判決が27日、佐賀地裁で言い渡された。神山隆一裁判長は諫早湾とその近郊で起きている漁業被害と閉め切りとの因果関係を一部認め、国側に5年間にわたる排水門の開門を命じた。諫干を巡る一連の訴訟で、開門を命じた司法判断は初めて。

 判決は、諫早湾とその周辺の環境変化と閉め切りの因果関係について「魚類の漁船漁業、アサリ採取・養殖の漁場環境を悪化させている」と認定した。

 「漁民らにこれ以上の立証を求めることは不可能を強いる」とした上で、「因果関係の解明に有用な中・長期開門調査を国が実施しないことは、もはや立証妨害と言っても過言ではない」と国側の姿勢を厳しく指摘。また「判決を契機に速やかに中・長期開門調査が実施され、適切な施策が講じられることを願ってやまない」と国側に異例の注文を付けた。

 国側は潮受け堤防排水門の開門について「閉め切りによる漁場の悪化もない。排水門を開放すると、排水門の周辺に速い潮流が起き、堤防の安全性や漁業に悪影響を及ぼすことが懸念される」などと請求棄却を求めていた。

 判決は、中・長期開門調査に必要とされる5年間の開門を国に命じたが、開門の際に潮受け堤防の防災機能を代替させる必要があるため、その工事期間として開門実施を判決確定から3年間猶予した。一方、堤防の撤去や慰謝料請求は認めず、請求権のない原告の訴えも退けた。

 諫干と漁業被害との因果関係を認めた司法判断は、04年8月に佐賀地裁が出した工事差し止めの仮処分決定がある。この決定で諫干工事は一時中断したが、福岡高裁が05年5月に取り消し、同9月に最高裁で確定した。

 今回の訴訟は02年11月に提訴。当初は工事差し止めを求めたが、工事がほぼ完成したため、06年11月に請求を「堤防の撤去か開門」に変更し、05年10月には開門を求める仮処分も申し立てたが、却下された。【姜弘修】

 ◇馬奈木昭雄・弁護団長の話
 全面勝訴だ。「国が開門しないのは、立証妨害に匹敵する」と裁判所は述べており、道理にかなった判決。高く評価する。国は直ちに開門にとりかかるべきだ。

 ◇九州農政局の話
 判決内容を詳細に検討し関係機関と協議のうえ対応を判断したい。

==============

 ■解説

 ◇「立証妨害」 国を批判
 諫干と漁業被害との因果関係を一部認定し潮受け堤防の開門を国に命じた27日の佐賀地裁判決は、堤防閉め切り後の漁業不振にあえぐ漁民の訴えをくみ取り、既に完工した国の巨大事業に修正を迫った。堤防閉め切りから11年。漁民の中には生活苦とみられる自殺者も出ており、国は早期解決の道を探るべきだ。

 潮受け堤防の影響を調べるためには、半年から数年にわたって堤防の排水門を開け、開門前後の海況データを集める「中・長期開門調査」が不可欠とされてきた。だが、開門の決定権を持つ国は調査を見送り、情報量で大きく劣る原告側は訴訟で困難な立証を迫られてきた。「因果関係を認めるに足るデータや資料の不在」を理由に、漁民側の訴えを退けた福岡高裁の判断(05年5月)や、公害等調整委員会の原因裁定(同8月)はその典型だった。

 今回の判決は、こうした状態に風穴を開けた。判決は国の姿勢を「立証妨害と同視できると言っても過言ではない」と批判。中・長期開門調査に要する期間に相当する「5年間の開門」という結論を導き出した。【姜弘修】

==============

 ■ことば

 ◇諫早湾干拓事業
 農地造成と防災を事業目的として、97年4月に諫早湾央部に設置した潮受け堤防(長さ約7キロ)で干潟を含む約3500ヘクタールを閉め切った。湾奥部に二つの干拓地を造成、干拓地以外は海水を淡水化して調整池とした。鉄板を次々と落とす閉め切りは、「ギロチン」と形容された。今年4月に干拓地の本格的な営農が始まり、総事業費は2533億円。

毎日新聞 2008年6月27日 東京夕刊


たとえ工事費が無料であったとしても、海産資源を利用した方が余程国民の為になるのに、
敢えて諫早湾干拓工事を施工したのは、宝の海有明海を汚染させて漁民を苦しめるのが目的だったのだろうか?
諫早湾干拓工事は、減反政策を取るほどに、農地を増やす必要もないというのに、
総事業費2533億円をかけて、地元の反対を押し切って強行されたのだった。

有明海の再生を願って、水門を開いてとの願いも拒否し続けている農林水産省は、何が目的でこの干拓工事をしたのだろうか?

今回の判決は地裁に過ぎないから、漁師さんの期待もむなしく、農林水産省は
高裁、最高裁と全部控訴して初めて、判決に従うという事にするつもりなのだろうか?

話は違うが、滋賀県の豊郷町で市民が町長の方針に反対して出した、
小学校の耐震構造の校舎にするという名目での校舎改築差し止め訴訟の場合、
裁判で改築の必要なしと住民側が勝訴したにも拘らず、
まだ地裁判決に過ぎないからと、町長は判決を無視して建設を強行し、完成させてしまった事が有った。

行政はやりたいことも、やりたくないことも、判決は最下級審だからと無視する傾向にあるように思える。
だが例え最下級審の判決であったとしても、判決は判決なのだから、次の判決が出るまではその判決だけなのだから、ちゃんと判決を守れと規定してはいけないのだろうか?
判決と違う事をやっても良いというのでは、裁判制度がないのと同じ事になるのではないだろうか?

しかし刑事事件とか民事事件とかの場合は、一審の判決だけで、控訴中でも刑務所に入れられることになるというのも、又問題があるし・・・・・

政府や農林省は、有明海の漁師さんの期待を、今度こそ裏切らないで頂きたいと切に願うものである。

Comments

Comment Post















管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

Trackback URL
http://dendrodium.blog15.fc2.com/tb.php/392-7a7fd650

竹中平蔵氏が韓国大統領の顧問に、ですって

 今日の驚き。 「韓国の李明博大統領が、竹中平蔵元経財相を大統領府に招き、指南役の顧問になってほしいと要請した」こと(ゲンダイネット...
  • [2008/06/28 09:05]
  • URL |
  • とむ丸の夢 |
  • TOP ▲