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「軍隊は住民を保護する存在ではない」という曽野綾子の説を読んで 

『山崎行太郎氏のブログ』に保守論壇の「沖縄集団自決裁判」騒動に異議」という記事を見て、沖縄に於ける集団自決は無かったと主張する右翼達の根拠が、曽野綾子の『ある神話の背景』という本に由来しているということを初めて知った。
そして曽野綾子という小説家が何故ここまでして、沖縄戦における集団自決は軍命令でなかったと主張したいのか理解に苦しむ。
 曽野綾子は軍の命令は無かったという自分の主張を裏付ける証言については、捏造の気配があっても気付かないふり(本当に気付かないほど鈍感な人とも思えないので)をし、命令が有ったとの証言は、捏造であると決め付けているのである。
此れでは彼女の説そのものの信憑性がなくなってしまうではないか。
それでも尚、曽野綾子は、軍の関与は無かったという事にこだわっているのである。
少なくとも真実を求めている人の態度とは言えないだろう。

そして右翼の人々は、曽野綾子の説を唯一の手がかりとして、沖縄戦の集団自決の軍関与を否定しているのだという。何とお粗末な集団であろう。
そしてその上、私は次のくだりを読んで唖然としてしまった。
   (引用)
「集団自決事件」の陰に「沖縄住民処刑事件」が……。
曽野綾子は、不思議なことだが、赤松大尉や赤松隊を擁護し弁護するあまりに、赤松大尉や赤松隊の「戦争犯罪」めいた問題については、「批判的なこと」は一切書いていない。たとえば、赤松大尉や赤松隊が、沖縄現地住民や少年少女達を、「スパイ疑惑」や「密告の可能性」という理由から、次々と処刑・斬殺していったことを記述しているが、それらの斬殺事件はすべて戦時下でのことであり、法的にも許されるはずだ……とか、軍隊は住民を保護する存在ではなく、戦うことを第一義とする存在である、それ故に住民処刑もやむをえなかった……とかいうような論理で擁護しているが、私は曽野綾子のその強引な論理に何か腑に落ちないものを感じる。当然のことだが、「曽野綾子神話」を鵜呑みにして論理を組み立てている保守派の面々も、この「沖縄住民スパイ疑惑斬殺事件」には触れようともしない。おそらくその原因は、曽野綾子の『ある神話の背景』をまともに読んでいないからだろう。読めば誰だって、疑問に思うはずである。 (以下略)


戦時下に於いて軍隊は住民を保護する存在ではなく、戦うことを第一義とする存在である、それ故に住民処刑もやむをえなかった……としゃーしゃーと言ってのけるとは!
此れでは一旦戦争が始められたら最後、一般住民は公正な裁判も受けず殺しても良いという軍人の、無法の下に置かれるということを意味しているのではないだろうか?

戦争になると軍人であるというだけの理由で、主権者たる国民の生殺与奪の件を握る事ができるというわけなのである。
そして非常時であるからという名目の下、軍事費(税金)は使いたい放題。
反対する者は非国民という名の下に断罪し、切り捨て御免というのでは、国民はたまったものではない。

その様な戦時特権を夢見て、日本を戦争状態に陥れようとしている輩が、余り賢くない少年たちをたぶらかして、旧日本軍のやった悪事を、誤魔化し覆い隠して信じ込ませようとするのは、同じことを又やりたいからなのではなかろうか。

此れはどんな事があっても、憲法九条の不戦条項を、私達国民は絶対に手放してはいけないと、改めて強く思った。
折角手に入れた民主主義を、悪魔の手に渡してなるものか!

   (引用始め)
たとえば、『ある神話の背景』に、こんな記述があるが、これらの記述をどれだけの人が読んでいるのだろうか。

 赤松隊がこの島を守備していた間に、ここで、六件の処刑事件があつた、といわれる。琉球政府立・沖縄資料編集所編『沖縄県史』によっても、そのことは次のように記されている。

 一、伊江島から移住させられた住民の中から、青年男女六名が、赤松部隊への投降勧告の使者として派遣され、赤松大尉に斬り殺された。

 二、集団自決の時、負傷して米軍に収容され、死を免れた小峰武則、金城幸二郎の十六歳になる二人の少年は、避難中の住民に下山を勧告に行き、途中で赤松隊に射殺された。

 三、渡嘉敷国民学校訓導・大城徳安はスパイ容疑で斬殺された。

 四、八月十五日、米軍の投降勧告に応じない日本軍を説得するために、新垣重吉、古波蔵利雄、与那嶺徳、大城牛の四人は、投降勧告に行き、捕えられることを恐れて、勧告文を木の枝に結んで帰ろうとした。しかしそのうち、与那嶺、大城の二人は捕えられて殺された。

 五、座間味盛和をスパイの容疑で、多里少尉が切った。

 六、古波蔵樽は家族全員を失い、悲嘆にくれて山中をさまよっているところを、スパイの恐れがあると言って、高橋軍長の軍刀で切られた。

       (引用終わり)

Comments

軍について

あなたは、軍隊というものが何か分かっていない。軍隊は命令が無ければ、何もできない。すなわち、命令は命令書として必ず記録に残る。下級司令官が好き勝手に命令を出してしまえば、全軍の統制など不可能である。
そして、軍隊、特に陸軍とは国民によって構成される。すわなち、戦時において、軍人と民間人の区別はあるけれども、国民に区別はない。一国民である、しかも、もともと市井の市民であって意思に反して召集された軍人が、なぜ無実の国民を残酷な方法で殺害できるのか疑問に思わないのか?
そもそも、軍隊は国民から離れて存在できない。国民が失われれば、軍隊は消滅する。

それこそ馬鹿な!です。

沖縄における住民虐殺は間違いなく証拠が残っています。アメリカ軍の持ち帰った旧日本軍人の手帳からそのことが物証を伴って確認されたのは最近のことです。
投降されて情報が伝わるのを防ぐために民間人を始末するのは、旧日本軍においては、太平洋の各戦線において、よくあった普通のことですよ。
マニラ市街戦におけるマニラ市民虐殺の命令書はちゃんと残っていますでしょう。沖縄県民も、大和民族ではないという事だったらしく、他国民なみに扱われていたということですね。

コメント有難うございます

zak様
軍隊というものの趣旨は、分かりました。
しかし私が今回問題にしていますのは、曽野綾子女史の、あの言葉なのです。
斬殺事件はすべて戦時下でのことであり、法的にも許されるはずだ……とか、軍隊は住民を保護する存在ではなく、戦うことを第一義とする存在である、それ故に住民処刑もやむをえなかった。
どんなに立派な規定が有っても、こんな事が容認されている以上、(この言葉が書かれた本を金科玉条にしている集団が、憲法改正を望んでいる以上)
日本の交戦権は、絶対に認めてはならないと思います。

naoko様
沖縄の人が差別的に扱われたということは、本当に悔しい事ですね。

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