Dendrodium 韓米FTAにTPP後の日本を見る

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韓米FTAにTPP後の日本を見る 

2013年7月29日、全国318人の弁護士がTPPに反対する弁護士ネットワークを発足させた。(こちら
ネットワーク共同代表 宇都宮健児弁護士 前日本弁護士連合会会長
ネットワーク共同代表 伊澤正之弁護士  栃木県弁護士会
ネットワーク共同代表 岩月浩二弁護士  愛知県弁護士会 事務局長        中野和子弁護士  東京第二弁護士会

TPPに反対する弁護士ネットワークの共同代表のお一人「街の弁護士日記」の岩月浩二弁護士が
【紹介】『韓米FTAの法的問題点と現況』で紹介しておられる
ソ・サンボム弁護士「韓米FTAの法的問題点と現況」は、岩月弁護士が翻訳されたものである。
米韓FTAはTPPではないけれど、米韓FTAによって韓国の被っている被害は、
TPPによって日本が被るであろう被害と殆ど同じようなものだろうとの事である。

この「韓米FTAの法的問題点と現況」を続きを読むに複写させて頂く。



韓米FTAの法的問題点と現況

民主社会のための弁護士会 外交通商委員会
徐 尚範弁護士(法務法人 ダサン)


※次の文は、基本的にハン・サンヒ『韓米FTAと民主主義と公共善』 2007年6月、民主社会のための弁護士の会『韓米FTA協定文の分析レポート』、パク・ウォンソク(代理人法務法人徳)『憲法訴願審判請求書』2012年6月、キム・ジョンボ『韓米FTAは韓国の法律をどのように変えたのか?』2013年3月、『韓米FTA発効1年、争点と展望』に基づいている.


米韓FTA協定文は、大きく「原協定」と2010年に米国の再協議要求に応じて再交渉をした結果である「交換書簡」に分類される。 「原協定」は、本文24章、 270条項で構成されており、関連付属書、付録と譲許表で構成されている。前文と本文の第1章(総則と定義)、第21章(透明性)、第22章(制度の規定および紛争解決)、第23章(例外)、第24章(最終規定)は、米韓FTAの適用のための基本的な事項を規定し、本文第2章から第10章までの商品貿易に関する事項を規定している。 本文第11章投資に関する事項、第12章越境サービス貿易に関する事項、第13章金融サービスに関する事項、第17章政府調達に関する事項、第18章知的財産権に関する事項を規定している。このような点からして米韓FTAは、単に貿易の対象となる商品の関税を撤廃するよりも、両国間の制度や規制を開放することに、より大きな比重を置いているといえる。
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1. 法のグローバル化 カ.現在の法のグローバル化は、国際法の分野では基本的に「脱政治」という方向に進んでおり、それは「国家を前提としない世界法」の形で、そして政治から自由で普遍的な市場システムの形成を目指している。 ナ.国内の憲政秩序や民主秩序、そしてこうした秩序に基づいて構成される公益など、最も重要な国家の領域も通商と呼ばれる私的な利害関係が動作する対象へと転落する。 ダ.韓国の国内における立法作用は、国家の構成員がどのような生活をどのように営むべきかについての根本的な選択と決定を行う行為であり、それは国民の生命、自由および財産、そして幸福の質と内容を規律する法規範の制定作用である。近代国家の登場自体が立法権に対する市民的制御として進行し、市民革命の過程で、立法の権利は、国民主権の最も重要な要素として構成されてきた。 ラ.韓米FTAのように、条約によって包括的•一般的に統治権を留保することは、一種の 「包括的立法の委任」に相当する統治権の放棄になると言わざるを得ない。 2.逆戻り禁止とNegative List方法 カ.韓米FTAは、非関税障壁の撤廃をその目的としている。通商の観点から見ると、非関税「障壁」の解消であるが、国内法の観点から見れば、それは市場への公的規制の解体を意味する。一国の憲法的あるいは社会•文化的特殊性に基づき、市場権力の規制と規律を行うことが、いわゆる非関税「障壁」であるためである。もちろん、 WTOなど、これまでの国際貿易開放規範の進展がこのような非関税「障壁」の解消を目的としてきたことは事実であるが、韓米FTAの場合、その解体の範囲と程度があまりにも強く、韓米FTAの主な目的は、まさにこのような公的決定の権利や公的規制の権利自体を無効化することにあると見なすこともできる。 ( 1 )その代表的な例が、いわゆる「自由化後退防止機構」( ratchet mechanism
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「逆戻り禁止措置」)と包括的なサービス市場開放の問題(いわゆる「Negative方式」)である。韓米FTAは、市場の開放•自由化措置をとりながら、一定の事項について、協定上の義務に適合していない既存の行為(不適合措置)を表示し、不適合措置が韓米FTAの締結後も有効であることを保障する現在留保の枠組みに基づいている(例えば、第12.6条第1項のカ号)。 ( 2 )この現在留保には、既存の不適合措置を継続するか、修正するかどうかの決定権も含まれる(同項ラ号)。しかし、その改正は、常に[内国民待遇] 、 [最恵国待遇] 、[市場へのアクセス]、[現地駐在要求の禁止]とその改正の直前に存在した措置の適合性を減少させてはならないとの規定(同項タ号)により、制限を受けることになる。これは現在留保を使用して既存の不適合措置を認めながらも、今後どのようなことが発生しても、現在の市場開放レベルを縮小するための措置を取ることができず、一旦保留された規制も一度緩和すれば、再び原状に回復することはできないことを意味する。 ナ.逆戻り禁止義務 韓米FTA第11.12条第1項タ号、第12.6条第1項タ号、第13.9条第1項タ号の規定は、協定に基づいて開放の制限を置くことができる範囲を定義し、既存の措置が持つ合理性を減少させない範囲での修正のみを認めている。これは、韓米FTAで一度、自由化措置をとった領域は、将来再び自由化を制限する措置を取ることができないことを意味している。韓米FTAが国内の、保護が必要な多くの産業、サービス分野を一律に開放していることも、開放以降の自由化を制限する立法、司法および行政措置が不可能であることを意味する。 ダ. Negative List方法 ( 1 )特に、韓米FTAの両当事国は、協定の附属書に開放を留保する分野の内容を明示的に記述しなければならず、附属書に記載されていない分野は自動的に開放しなければならないとする 「ネガティブリスト」方式によって逆戻り禁止義務の適用範囲は非常に広いという点に、問題の深刻性がある。 総合的なサービス市場開放の問題は、韓米FTAで採用しているサービス市場開放の方法が、開放対象を列挙するポジティブ( Positive )の方法ではなく、開
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法から除外される領域を留保するネガティブ( Negative )の方法で行われていることにある。つまり、サービス市場の開放にあたっては、現在留保や将来留保の権利を留保しない限り、韓国のすべてのサービス市場について、米国は、内国民待遇、最恵国待遇、市場アクセス、現地駐在要求禁止等の保障を要求できるようになる。 ( 2 )また、附属書上の留保対象に記載したとしても、その後、規制が緩和された分野や地域の政策は再び制限することができない。つまり、当事者がその分野で自発的に自由化措置を講じた場合は、今後はどのような理由であっても、規制を従来レベルに戻すことが全くできなくなる。たとえば、韓米FTA協定文の附属書は、スクリーンクォーター日数を73日(映画館は韓国映画を年間73日上映することを義務づける韓国映画保護振興のための政策)と定めたが、今後スクリーンクォーターを60日に縮小する決定をした場合、その後はどのような理由であっても、スクリーンクォーターを再び60日以上に拡大することができなくなる。 (3)韓米FTAの逆戻り禁止義務は、単純な市場の開放状態を維持するためのものではなく、むしろ包括的な国家規制権限の喪失の結果を生み出す。このように一律に産業の自由化政策の変更を原則として禁止することで、政策決定の方向を「開放」という一方向だけに固定することは、国内の変化する問題と公益的必要に応じて産業とサービス分野の方針を改定する国家の規制権を正面から侵害する。 ラ 立法権の侵害 ( 1 )韓米FTAの立法権の侵害は、まさにここで発生する。サービス市場では、WTOの分類だけでも、法律、会計、税務、コンピュータサービス、研究開発サービス、不動産、賃貸(船舶、航空機、輸送手段)、広告、世論調査など数十種類に及ぶ。私たちの社会生活のほとんどの領域をカバーするのがサービスの市場である。問題は、このようなサービスの市場は、一般的な物的商品が取引される市場とは異なり、人々のライフスタイルや生活の過程で行われる意味と価値の形成という領域にまで渡っているということである。こうしたサービス市場の国家的規制は、他の市民社会領域に比べて多様で多元的な姿で現れる。
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何を市場での取引の対象となるサービスであり、何を、国あるいは公的役務にするか、市場的サービスであっても申告制•登録制•許可制•認可制など、その市場への参入の制御や資格の制御をするのか、一定の場合、サービスへのアクセス制限やコンテンツ規制をするかどうかなど、さまざまな側面から国家的な検討が行われるものであり、さらに、これらの検討は固定的なものではなく、生活の変化に従って流動化されて、その時々の判断と異なる判断によって弾力的に対処しなければならない必要性がある分野である。 韓米FTAの場合、このような国家的検討の可能性を最初から奪い取られてしまっている。というのは、現在の留保に対して逆戻り禁止措置を取ることにより、将来の状況の変化に応じた市場への参入制限の可能性を消去してしまっているためである。 ( 2 )このように、逆戻り禁止はネガティブ方式の市場開放と組み合わせられることで、既存の現在の留保と未来留保による追加を制限する規定があることから、予め留保された分野を除いては、どのような場合でも、市場の制限をすることができない状態に陥ってしまう。サービス市場は、最も高度化した資本主義的市場で、余剰価値が創出できる場合は、その商品の開発の可能性は、予想を超越するほど広く開いていることを考慮すれば、このような問題はさらに悪化するであろう。将来のサービスの市場がどのように変わり、それが私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか、さらに私たちの文化的アイデンティティにどのような変化をもたらすことになるかを到底すべて予測することができないのが現実で、韓米FTAは、それに対する規制権限をも放棄することを余儀なくしている。 将来のサービスの市場がどうなるか全くわからない状態で、その将来のどのようなサービスに対してどのような規律をどのように行うのかを全く知らない状態で、そのすべてをあらかじめ放棄することを余儀なくされているのは大きな問題である。 3.中小企業保護の放棄 カ.( 1 )このような逆戻り禁止とNegative List方式の弊害は、中小企業保護政策という一つの例を使って簡単に調べることができる。
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( 2 )憲法第123条第3項は、「国は、中小企業を保護•育成しなければならない。」とし、中小企業の保護を憲法に基づく国の義務として規定している。このような憲法上の義務を履行するために、政府は具体的に同伴成長委員会を通じて、中小企業適合業種を指定し、これらの業種の大企業の参入を控え、事業移譲を誘導する政策を推進し、大•中小企業の共存協力促進に関する法律により、大企業の無分別な中小企業の事業領域の侵害について、中小企業庁長官が事業の調整をすることができるようにしている。 投資の自由を広く認めようとする自由貿易条約の性格上、中小企業のための特別な保護がさらに必要であるにもかかわらず、韓米FTA協定文には、憲法に明示されている国の中小企業の保護義務を規定する条項を参照することができない。韓米FTAで韓国が確保した 「脆弱集団」に関連する包括的な規制権限の留保リスト(附属書II )にも中小企業が含まれていない。政府も国会に提出した公式の回答では、「脆弱集団」に中小企業が含まれていないと確認したことがある。
ナ.( 1 )したがって、中小企業保護のために、これまで政府が実施してきた積極的な政策が条約上の義務違反として廃止される可能性が韓米FTAには存在する。同伴成長委員会が中小企業適合業種を選ぶか、超過利益共有制を実施するための措置をする場合、韓米FTA第12.2条等に規定された 「内国民待遇義務違反」になるからである。実際、19回国会で代表的な民生法案と呼ばれる「中小商人適合業種保護特別法」に対して政府は、「既締結FTAや投資協定上の投資保護規定に違反する恐れがある」と回答した事がある。 ( 2 )さらに、政府は、今後、中小企業保護のための立法活動をする場合、協定の第12.4条に基づく市場アクセス違反、第11.5条に基づく最低限待遇基準違反、第11.6条の間接収用に関連する違反の発生を検討する結果、中小企業保護のための立法や行政作用に甚大な萎縮効果をもたらすと考えられる。 ダ.共存法での事業調整制度、流通法での伝統的な商業保全地域は、韓米FTAのサービス分野で禁止され、地域区分に基づいた経済的需要の審査を通じたサービスの提供者数の制限に該当するおそれがある( 12.4条 市場アクセスの保証義
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務)、韓米FTAの現行規制(現行不適合)リストの小売流通サービスの市場アクセス分野の義務の不適合のリストには流通法、共存法の制度が明記されていない。 また、将来の規制権限のリストでも市場アクセス義務を現行規制(現行不適合)リストに記述したものだけを、将来も追加規制することができるものとされている。 したがって、現行の流通法と共存法の制度は、韓米FTAで現行の規制(現行不適合)と将来の規制策の恩恵を受けられなくなる。 特に、共存法の事業調整制度は、附属書12-ダの次の2007.6.30書簡(7項)の都市計画(zoning、p.236 )と土地利用(land use)の規制に対応することも困難になるといえる。 ラ.企業型スーパー( SSM )規制 韓米FTA署名後に企業型スーパーの流通法、共存法の規制措置が導入されたにも関わらず、政府は韓米FTAにこれを保障する装置を追加して設けていない。 これは、政府のミスや意図的職務遺棄と見る以外にないが、これらの政府の不作為により、企業型スーパーの政府の規制は、韓米FTA違反と判定される危険性が生じた。
マ.このように、憲法に基づいて、中小企業保護のために行われる立法、行政政策が韓米FTAに違反して無効になったり、投資家•国家訴訟制の提訴の対象となる危険にさらされており、中小企業の保護が、韓米FTA附属書の「留保リスト」の保護対象として記載されていないことにより、留保リストに記載されていない分野については、すべて開放するサービス市場の自由化方式である、 いわゆる「ネガティブリストシステム 」( Negative List System )と組み合わせて、中小企業の保護のための既存の措置を続けることはできず、今後も追加の中小企業保護政策を推進することは困難な状況に置かれた。これは結局、中小企業の保護政策を事実上放棄する結果をもたらすであろう。
4.立法主権の侵奪
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カ.韓米FTAが個々の立法権を制限するレベルを超えて、立法主権自体を侵奪しているとの指摘を受けるのはそのためである。具体的であり、個々の立法権の制限ではなく、将来の人生そのものへの国民の自己決定権を剥奪したり制限することである。
ナ.これは、自由民主的基本秩序を「複数の意思による国民の自治•自由•平等の原則に基づいた法治国家的統治秩序」と規定する憲法裁判所の決定に照らしてみても深刻な問題となる。何をどのように規定するかは、多数決によって決定するが、その多数決の形成は、時代の変化に応じて、または事情の変化に応じて異なる場合があることを保障する土台の上で行われるのが自由民主的基本秩序の重要な内容である。しかし、韓米FTAは、このような「その時の多数の意思」が形成される可能性自体を奪い取ってしまい、むしろ現在の多数が決断することで、将来的に形成される多数の意思を拘束し、その意思自治を制約する「恣意的な支配」をすることとなる。 5.投資家•国家訴訟制 一方、韓米FTA上のもう一つの議論の中心となっているのは、投資家-国家訴訟制(ISD)である。 カ.定義 投資家 - 国家訴訟制は、外国人投資家が投資受入国の協定義務違反で損害を受けた場合に投資受入国政府を相手に直接、別の仲裁機関に損害賠償を請求することができる紛争解決手続きである。韓米FTA協定文では、第11章2節、3節では「投資家と国家間の紛争解決( ISD )」という用語を使用しており、続いて「投資受入国政府が、第11章1節( Section A )の契約上の義務、投資契約( investment agreement )と投資認可( investment authorization )に違反して投資家に損失が発生した場合、投資家が投資受入国政府を相手に、国内裁判所へ提訴するか国際仲裁を要求する権利」と定義している。
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ナ.包括的な同意条項と公共政策無力化 ( 1 )韓米FTAは、政府の公共政策を紛争の対象とすることができるようにする権限を投資家に与えている。国の公共政策は、私的な契約関係のように相互に合意すれば成立するものではなく、総合的な政治‧社会的判断に基づいて民主的意思決定手続のプロセスを経て形成されるものである。このような公共政策をその設立の理由と機能を徹底的に私人間または私人と国の間の国際的な「商事的」紛争を処理するために作られた国際仲裁機関で対処することは、重大な公共政策の歪みの原因となるおそれがある。仲裁に付託された国家政策が協定違反と判断された場合、事実上、その政策は無力化される状態にさらされるためである。 ( 2 )仲裁付託のための包括的な事前の同意とみなされる条項が投資家 - 国家訴訟制の核心であり、この同意手続きを包括的かつ事前的なものとみなす条項が存在している以上、今のところ韓国政府はいつでも投資家の仲裁付託に応えざるを得ない。政府は、特定の分野- 例えば不動産政策や国民健康保険制度など-が提訴の対象から除外されたため、投資家- 国家訴訟制の危険性は大きくないと主張している。むろん、一定の部分を紛争対象から除くことは、ある程度の交渉の成果だと認めることはできるが、まだ投資家 - 国家訴訟制の核心が変化したとすることはできない。 ( 3 )投資家•国家訴訟制は、議会の立法過程や国家の政策決定過程を通じて、さまざまな方法で集約された国民の意思を、外国の投資家が一挙にその効力を否定するようにする主なメカニズムを形成する。 代表的な事件でMyers事件を例に挙げよう。この事件で、ISD制度は、カナダ政府が自分の判断によって有害物質の国境を越える移動を制御するバーゼル条約に加入し、1992年に批准した結果、その条約上の義務の履行の過程で表示されるコントロール{1995年のポリ塩化ビフェニール( PCB )廃棄物を米国に搬出する行為を禁止する一時的な命令を発動}も提訴の対象にするとされており、国民の代表機関である政府が締結し、議会が承認した条約の執行行為までも私的投資家の攻撃対象になっている。
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( 4 )この制度は、草の根民主主義の典型として理解されている地方自治の領域でも威力を発揮する。その例として、廃棄物処理場をめぐる国の環境政策を攻撃対象としたMetalclad事件が挙げられる。この事件では、廃棄物処理などの環境政策に対する地方政府の決定権がそのまま否定されている。つまり、この事件の判定は、地域の環境政策を立案して実施する地方政府の固有の権限も実質的に中央政府に移転させることで生活政治の単位となる地方自治体の自主性、自律の原則を根幹から揺さぶっている。 ダ.司法の決定、審査対象の問題 ( 1 )韓米FTAの投資家 - 国家訴訟制度では、憲法裁判所の決定、裁判所の判決、検察の決定も国際仲裁の対象となることがある。これは司法主権を侵害する投資家 - 国家訴訟制の深刻な問題である。 実際NAFTAでも司法の決定が投資家 - 国家訴訟提訴の対象となる事例が多数存在した。 Calmark事件でアメリカ人投資家は、メキシコの検察と裁判所の手続きが司法の定義を否定したものだとしてメキシコの裁判を国際仲裁機関に提訴した。米国の裁判所も、投資家 - 国家訴訟制提訴の対象となった。 1998年にカナダのLoewen社がミシシッピ州の法廷でなされた陪審評決を不服としてICSIDの仲裁請求をした。続いてカナダのMondev社はマサチューセッツ州の裁判所で行われた裁判の不当性を理由ICSIDに仲裁申請をした。 ( 2 )これらの可能性は韓米FTAにも存在しており、国内の司法制度の根幹を揺るがす可能性がある。憲法上の3審制を基本とし、その最終的な法律判断を最上級審である最高裁判所に、最高規範である憲法裁判の決定権を憲法裁判所に委任している憲法秩序を破壊するものといえる。米国の投資家が最高裁判所の判決を対象として投資家 - 国家訴訟を提起した瞬間、韓国の司法制度は、実質的に4審制となる状況が発生する。 ラ.2006年最高裁の投資家 - 国家訴訟制度の検討意見書
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( 1 )このような投資家 - 国家訴訟制度の問題点は、最高裁が2006年に法務部の要求に応じて投資家 - 国家訴訟制を検討して提出した意見書で確認することができる。 ( 2 )最高裁判所は、投資家 - 国家訴訟制度の導入により、政府の各種政策や規制措置が干渉を受けることがあることを指摘した。仲裁機構が政府の各種政策を評価して審理することにより、公共政策が萎縮したり、国家的混乱が発生することがあるしている。そして、これらの紛争について司法が関与する余地がなくなり、国の主権や管轄権が侵害されることがあると指摘した。また、米国の投資家が我々の政府を相手に直接介入を請求することができるようになり、外国人が韓国国民よりも多くの権利を享受して平等に反する恐れがあり、司法の判断も仲裁請求の対象となることによって法的不安定と不安をもたらす恐れがあると述べた。 ( 3 )このような判断の中で、最高裁は、投資家 - 国家訴訟制度が実質的に米国の投資家のための保護装置として機能することを懸念し、「米国の投資家の仲裁請求が韓国企業より多いと予想され、韓国の立場では提訴に応じた対応など、かなりの負担」として作用するものと判断した。そして、十分な議論の必要性に言及し、その結果、結論として投資家国家訴訟制度を認めるとしても、司法の判断が投資家 - 国家訴訟制の提訴の対象から除外されない場合は、 「深刻な法的混乱を招くことがある」ので導入しても司法の判断は、仲裁請求の対象から除外するように要求した。 マ. ( 1 )投資家-国家訴訟制度は、国内の司法手続きを排除して、外国人投資家が国家の行為を対象にして、いつでもほしいだけ仲裁裁判所の審判を受けることができる。現行の韓国憲法が最高裁判所を頂点とする司法府に付与した権限を韓米FTAは、私人で構成される国際仲裁裁判所に委譲している。 ( 2 )端的な例が、国際仲裁裁判所が自ら締約国の国内法を判断し、その判断に基づいて判定に至る場合である。この場合、主に使用されている根拠は、 「公正かつ衡平な待遇」 ( FET )の規定と 「完全な保護と安全」の規定であ
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る。 6.間接収用問題及び迂回的憲法改正 カ.( 1 )このように韓米FTAは、非関税障壁の解消と市場の開放という名目で経済に関する国の規制の機能自体を根本から変えようとするが、これは韓国の憲法が志向している社会的市場経済秩序という枠組みを自由市場経済秩序に変換しようとするものである。 ( 2 )これは間接的な方法による憲法改正である。特に韓米FTAの投資条項によって保障される投資家•国提訴訟は間接収用も対象にしており、憲法上の財産権の条項(第23条) 、経済秩序(第119条から第127条)などとの衝突が大きな問題となっている。 ナ.憲法と財産収用:公共の福利と経済の民主化 憲法第23条第2項は、 「財産権の行使は、公共の福利に適合するようにしなければならない。」と規定して、私的財産権であっても公共の福利に適合するように使用しなければならないとする憲法的原則を明示している。財産権の制限の許容度は、財産権の対象となる物が基本権の主体である国民一人一人に対して持つ意味と、一方では、それが社会全体に対して持つ意味がどうであるかによって決まる。 つまり、財産権の対象となる物が持つ社会的関係と社会的機能が大きければ大きいほど、立法者による、より広範な制限が正当化されることがある。特定の財産権の利用や処分がその所有者個人の生活領域にとどまらず、一般国民の多数の日常生活に大きな影響を及ぼす場合には、立法者が共同体の利益のために個人の財産権を規制する権限をさらに幅広く持っているとする(憲法裁判所1998.12.24宣告89憲(マ)214決定)。 また、憲法は、第119条第2項では、 「国は、バランスの取れた国民経済の成長と安定と適正な所得の分配を維持し、市場の支配と経済力の乱用を防止し、経済主体間の調和を通じた経済の民主化のために経済に関する規制と調整をすることができる。」と明らかにしている。上記の条項に規定された「経済主体間
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の調和を通じた経済民主化」の理念は、経済分野で公正な社会秩序を形成するために追求することができる国家目標として個人の基本権を制限する国の行為を正当化する憲法規範である。 ダ.韓米FTAの間接収用制度 ( 1 )韓米FTAは、外国人投資家の保護を強化する目的で、いわゆる 「間接収用」という概念を導入している。 「間接収用」とは直接収用のように、政府が外国人投資家の財産権を剥奪したり、国有化することはないが、特定の政府の措置により、投資家が実質的に営業をすることができなくなって投資の価値が直接収用と同等程度に剥奪されることを意味する。韓米FTA協定文の第11.6条は投資家の財産を公共の目的のために直接または間接的に収用する場合は、公正な市場価格に応じて補償するように規定している。
( 2 )ここで問題になるのは間接収用の判定基準である。韓米FTA附属書11 –ナは第3条にその基準が規定されている。これによると、外国人投資家の権利侵害の程度が「直接収用と同等程度」に達することが必要であるが、具体的な判定基準を見ると、「政府の政策が外国人投資家の合理的な投資の予想外になり」、「個人のための特別な犠牲を強要するなどの性格を持った政府の政策」が取られれば、充足するものとなっている。これらの判定基準は、韓国憲法上の財産権保護の範囲よりも広いものと見ることができる。 ( 3 )このような状況は、最終的に韓国の国内法体系を二元化する結果をもたらすということができる。つまり、米国の投資家と国を対象にして投資家•国家訴訟制度を中心とする司法制度と、米国の投資家と関係のない韓国人、内国法人と国との間の関係を規律する司法システムという2つの異なる法体系が存立することになる二元的法権的に構成されるかもしれないということである。 ラ.新自由主義と法の帝国主義 韓米FTAが締結されるべきだという主張の中にはこれを通じて韓国の経済や行政などの社会構造全般を「 global standard 」に合わせることができることを
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望むものも含まれているようだが、このような主張が意図する「 global standard」は、主に米国によって形成された新自由主義的市場秩序を意味する。国内の秩序や国内の法体系も韓国の立場ではなく、米国のそれに合わせて改変していこうとするものである。 これは、法の帝国主義を構築しようとする米国の戦略を反映したものとすることができる。 1980年代、自国の国内法に基づいて、各種の301条を武器にして、通商圧力をかけていた米国の戦略は、報復関税や貿易の中断などを中心とする一種の非関税障壁を通して自国の国内法の域外適用を貫こうとする戦略とみることができたが、これよりさらに世界的に自国の利益を追求するのに最も有利な法的・制度的環境を構築するために、自国の法体系を他の国の法体系に置き換え、変換しようとする、より高度な戦略として、転換したことを意味することもみることができる。 7.最新の概念と社会国家原理違反 カ.加えて、韓米FTAで強調される非関税障壁の撤廃という命題は、一方では、国内法の空洞ゾーンを作り上げることになる。逆戻り禁止措置やネガティブ方式のサービス市場の開放などは国内の手続きによる立法を実質的かつ包括的に阻止することにより、人々の日常の問題を国民が自分では決められないようにする。そして、このように形成される国内法の空洞ゾーンを経済的価値を最優先に置く、独自の志向で確立された異質な法が規律する現象を惹起するようにする。 ナ.(1)一般的に国家の行為は、個人の私的な行為とは異なり、それに特有な法原則が作用するとみられており、公法•私法の区別という二元論を取っている大陸法の場合だけでなく、法の一元的システムをベースとする英米法のシステムでも警察とか福祉、保健、環境、消費者保護など公益( public interests )の概念を介して一般的な私益とは別の法原理を認めている。 ( 2 )しかし、韓米FTAは、このような一般的な法体系とは正反対の方向に進む。これは、私的な市場主体(投資家)が自分の私的利益(財産権)のために公的に形成される共同体的な決定自体を禁止してしまったり(逆進禁止、ネガティ
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ブ方式のサービス市場開放)、形成された共同体的な決定を無効化し(投資家•国家訴訟制の場合)、あるいはそのような決定を、各種の規制緩和の規定を介して解体したり、変更してしまうこともある(例えば、自動車関連税制の変更)。 ダ. ( 1 )投資家-国家訴訟制における投資受け入れに関する仲裁裁判所の立場を見ると、このような事実を明らかに確認することができる。国 内法上の収用の合法性や補償が必要かどうかを決定するにあたっては、侵害されたと主張する請求人の経済的利益だけでなく、処分行為をした国の公益目的を考慮しなければならないとされるのに対し、 Metalclad事件などで仲裁裁判所は、経済的影響( economic impact )を単一の基準にして評価している。国の措置が補償を必要とする対応かどうかを決定するにあたり、仲裁裁判所が考慮すべき事項は、その措置の公共性ではなく、侵害されたと主張している投資家の財産だけだと宣言したと評価できる。仲裁判断において、基準となるのは、投資利益という私益にだけで、投資受入国の国民全体を考慮した公益は検討対象ではないと判断している。 このような基準を受け入れた場合の二極化現象の克服、不動産問題の解決など、最近新たに深刻な社会問題となっている社会正義的な要求を、実効的に処理することができる政治的あるいは行政的装置を全く喪失する恐れがある。 ( 2 )韓米FTAは、このように公共の福祉への関心を明示的に否定する効果をもたらす。国が追求すべきは、他のすべての価値をさしおき、ひたすら財産権だけが最優先保護対象と規定されている。もちろん、上記Metalclad判決後間接収用の決定に関連して国の措置の性格も考慮する傾向が現れているが、投資家-国家訴訟制は、生まれながらにして財産権の保護を最大の目的としている制度であるだけに、その判定の過程で公共性の問題は、常に財産権の二次的なものになるしかない。 ラ. ( 1 )財産権の内容と制限を法律で定めるように規定した韓国の憲法(第23条第1項)のシステムでは、所有権は、正当な公益目的のために法律で制限することが可能な私権である。韓国憲法は、国家に対して市場に介入して厚生を生み出すことを義務づけている。土地の公用概念とか農漁業への公的支援など
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様々な国の活動が、ここから正当化される。天然資源の特許に関する憲法の規定は、今日の情報社会における電波主権と放送の公共性を確保するための重要な準拠になっている。しかし、このような部分は、保健•衛生、安全、環境保護の程度に止まっている米国の公共の概念には包括されていない領域である。 ( 2 )各種のFTAやBITは、財産権の侵害とはみなされない公共の目的を規定し、これを実現するための非差別的規制措置は、違反措置に該当しないと規定しているが、そのカテゴリーは、安全や公衆衛生、環境などに制限されてきた。これにより、所有権を制御する最新の要求をより幅広く認める必要があるとする国際的な批判が示され、このような公益に対応するなどを挙げている。 ( 3 )韓米FTAの場合にも安全、公衆衛生、環境などに加えて「不動産価格安定化政策」を挿入し、 (附属書11 - ナ、第3項カ目3号) 「国際的に認められた租税政策と原則に準拠された租税措置と非差別的租税措置は、原則として仲裁付託の対象とならない」ことを規定した(附属書11 - バ) 。 ( 4 )しかし、問題は、いくつかの例外事由をどのように挿入するかではなく、基本的に公益と財産の関係をどのように設定するかにある。つまり、これは単純な条約上の規定の設定の問題ではなく、憲法上の問題として、それにもかかわらず、韓米FTAは韓国憲法の決断とは異なる優先順位を設定することにより、憲法、とりわけ社会国家主義の危機を引き起こす可能性がある。 マ.社会国家原理違反のリスク ( 1 )前述したように、韓国の憲法上の経済条項は、市場に対する国家介入を包括的に規定し、これを国家的義務として規定している。また、これに加え、従来の公共領域に属し、行政作用あるいは公的業務に区分された分野は、最近の民営化の傾向に乗って市場領域に編入され、従来の政府の規制措置が残存している場合も少なくない。 ( 2 )しかし、このような多くの事項が国際仲裁の手続きで採用している基準
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とする場合、韓米FTAに対する違反措置、特に間接収用に該当するものになってしまう可能性がある。つまり、韓国の場合、韓米FTAの附属書に保健•衛生、安全、環境保護、あるいは不動産(価格)制御、租税などの例外措置を認めても、これらの事項は、韓国憲法が規定している国の義務の一部に対応するだけであり、したがって、このような状況で、韓米FTAなどの条約を通じてアメリカなど自由市場主義的な法体系によって形成された財産権の法理をそのまま韓国法制に導入すると、ややもすれば憲法上の経済条項自体が韓米FTAの違反措置ないしは間接収用に陥る可能性がある。そして、この過程で韓国の憲法上の社会的市場経済秩序そのものが危機に直面する危険性がある。 ( 3 )先に見た中小企業保護政策の放棄の問題を介してこれらのリスクが現実化していることを確認することができる。 8.人権侵害の問題 カ. また、韓米FTAは、すべての人権的な要求を財産権の下位概念として設定し、その所有権の拡大再生産に必要な範囲内でのみ人権を付与するように規律することにより、多分に人権侵害の可能性がある。 ナ.個人情報保護の例 ( 1 )一例として、個人情報保護の問題が挙げることができる。個人情報を一つの基本的権利と考えている韓国の法体系に比べて、より低いレベルの概念、すなわち、債権的レベルの権利にとどまっている米国の法体系が韓国法に変わって適用されると、個人情報の保護レベルが著しく低くなるような仕組みになる。金融情報の海外移転を許可する(附属書13 –カ、第3項、ラ項、附属書12 – ナ第2節及び附属書13 - d)が代表的な例である。政府はこれと関連し、個人情報の保護措置を十分に整備したと説明しているが、実際の保護対象となるのは、個人情報ではなく、重要な個人情報( sensitive information )に限定されている。
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( 2 )オンラインサービス提供者に対しては、令状がなくても個人情報を提供することができるようにする権限を与えられて、場合によってはオンライン上に掲載されている著作権を侵害する(疑いのある)表現も削除する権限を付与することにより、情報通信分野からの情報人権は大きく後退した(第18.10条) 。 ダ.このような人権侵害の面は一例に過ぎない。より根源的な人権侵害は、財産権を最上位の権利として規定した韓米FTAの倒錯した価値観で表されるだろう。実際の韓米FTAによって生じる二極化の問題とか、あるいは各種の政府規制撤廃による公共の利益の侵害は、それ自体人権保障の弱体化や人権侵害の現実化につながる。 9.比例原則違反 カ.経済成長エンジンの確保という目的 韓米FTAを推進する側では、社会の各分野で提起されている懸念や批判にもかかわらず、それが韓国経済を生かす決定的方策であるからやむを得ないとした。違憲の可能性についての議論も、あるいは農業や脆弱性産業部門の破綻の可能性や社会的二極化の深化の可能性という副作用の指摘に対しても、新たな経済成長エンジンを確保するための避けられない必要悪という論争に進んでしまった。 ナ.比例原則違反 ( 1 )しかし、憲法が保障する権利を制限しようとする場合、その目的が正当であっても権利の侵害が最小限に止まるようにしなければならず、侵害前後の法益の均衡性が維持されなければならない。 ( 2 )まず、侵害が最小限に止まるかを検討すると、先に述べた米韓FTAの逆戻り禁止義務は、この要件を満たしていない。逆戻り禁止義務は、一度取られた自由化措置を何らかの理由で元に戻すことができないようにして、一種の不作為
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義務が強制された状態に拘束し、それに対する例外や他の選択の可能性を封鎖している。 韓米FTA上の義務と適合しない国の各制度を国が事前に協議したり、あるいは義務違反の恐れがある場合には、当事国の利害関係を十分に調整することができる変更手続きや権利を付与して侵害を最小限にする案が必要であるにもかかわらず、これらの変更、協議手続きなしに、原則的に逆戻り禁止の義務を課している。 ( 3 )次に韓米FTAの逆戻り禁止義務などは、法益の均衡性にも反する事項である。逆戻り禁止義務で保護される利益を想定してみると、韓米FTA上の義務を遵守する状態を維持して協定の実効性を確保することができるという点と、それによって韓米FTAによる自由化の状態の持続を通じた経済的利益の獲得の可能性である。
しかし、これらの経済的利益は、正確に予測することは難しく、確実に保証される利益と断定することはできない。韓米FTAの締結前に韓米間の関税は、グローバル化によって高くなかった点などを見たときに貿易障壁を下げることによって得る実質的な経済的利益の大きさも相当あると断言することもできない。 ダ.そのため韓米FTAの逆戻り禁止義務、総合的なサービス市場の開放、投資家•国家訴訟制などは、比例の原則に違反したと見る相当な理由がある。 10.韓米FTAの現状 カ.発効後1年余りの間、法令制定権の制約事例 韓米FTAの効果と関連して有力に提起されている議論で、環境など国家規制権限の行使に対する「萎縮効果( chilling effect )」が挙げられる。環境や健康、福祉などのためには政府の積極的な規制権限の行使が必要だが、このような措置が外国投資家に影響を及ぼす場合、紛争が提起される可能性を懸念して政府が規制権限の行使に消極的になるということである。以下で挙げる例を見ると、
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このような萎縮効果が現実化していることを明らかに確認して見ることができる。 ( 1 )低炭素車の協力金制度の立法不満(実施時期延期) 環境部は、当初2013年7月から低炭素車の補助金制度を実施する予定であった。この制度は、二酸化炭素の排出量が少ない小型車購入者に50万〜 300万ウォンの補助金を支給し、排出量の多い中•大型車は50万〜 300万ウォンの負担金を課す。二酸化炭素排出量131 〜 145g /㎞を補助金や負担金のない中立的な区間として定め、それよりも排出量が多いと負担金を課す。 しかし、韓米FTA違反というアメリカの圧力によって、この制度の導入時期が1年6ヶ月、延期された。韓国政府は昨年11月、大気環境保全法の一部改正法律案を修正し、施行時期を2015年1月に延期した。
( 2 )韓国政府の中小企業のIT産業育成政策にブレーキ 米国政府は、 2013年1月、韓国政府の<ITネットワーク機器構築・運営ガイドライン>で韓国政府と公企業の上記機器を納品する中小企業を優遇する政策をとっていることが韓米FTA違反とし、改正要求文書を発送した。 ( 3 ) 「中小企業適合業種制度」の不良債権化 韓国の同伴成長委員会は、 2013年2月には、外食産業を「中小企業適合業種」に指定したが、もしアメリカ企業がこれを守らず、韓国政府がこれを直接間接的に規制しようとする場合、韓米FTA違反に当たるという問題提起が続いている。 ( 4 )郵便局の保険の加入限度額の増額の頓挫 郵政事業本部は、 2011年11月郵便局の保険の加入限度額を4000万ウォンから
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6000万ウォンに50 %高めるという内容の立法予告をした。しかし駐韓米国商工会議所( AMCHAM )は、これを「韓米FTAに含まれた、透明性を高めるという韓国の重要な約束に反する」と強く反対し、最終的に増額は挫折した。 ( 5 )薬価決定独立審査機関権限の対立 現在、韓国と米国は、韓米FTA第5章(医薬品、医療機器)に基づき「独立した調査機関」 ( review body )を置いて解釈紛争をしているところ、米国は、この機構を設置したのは韓国公的医療保険である 「国民健康保険」に納品する医薬品資格認定および価格決定を再審査するためのものであり、この機構の再審決定は拘束力があると主張している。 これに関連して、最近( 2013. 8.27.)上記「独立した調査機関」の勧告に基づいて健康保険政策審議委員会は、米国企業の関節固定装置の10 %の価格引き上げ案を可決することにより、懸念が現実化している。 ( 6 )内部対立に韓米FTAを利用 2012年4月、三星カードが米国系の大型ディスカウントストアのコストコにのみ任意の手数料(0.7%)を提供し、国内の中小自営業者にはより高い加盟店手数料率を設けたことを是正するように求めた、中小自営業者の要求に対抗して、この主張が韓米FTAに違反すること可能性があるとの文書を発送した事件があった。 ナ.投資家•国の訴訟( ISD )提訴事例 ( 1 )ローンスターのISD提起 ローンスターは、 2012年9月、大韓民国政府の譲渡所得税3,900億ウォンの課税処分を国際仲裁に付託した。ローンスターは、韓国政府の株式譲渡承認の遅延により、約2兆ウォンの損害を見たと、その賠償を請求した(韓- ベルギーの
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BITに基づく)。 ( 2 )韓電事件 2012年10月、韓国の電力公企業の韓電が政府と地方自治体の電気料金政策の国際仲裁回付が( ISD )可能かどうかを法律事務所に依頼した事件が発生した。これは、韓電に投資した外国人株主のためのものであった。 ( 3 ) MS著作権紛争のISD提訴懸念 マイクロソフト( MS )は、 2012年5月29日までに合計4回にわたってわが国の国防部がMSのソフトウェアを違法に使用しているとして2000億ウォン台の使用料を払うよう要求した。 この問題と関連して、米国大統領直属の機関である国際貿易委員会(ITC )は、マイクロソフトと国防総省との著作権紛争と関連して、韓米FTAに規定されている投資家国家訴訟制度( ISD )を動員するなど超強硬措置を行使する徴候が見られることが報じられた。 政府は、このような紛争を予防するために、 2012年6月14日、韓米FTA履行のために大統領訓令として「公共機関のソフトウェア管理に関する規定」を制定し、この訓令は、公共機関は正規のソフトウェアのみを使用することを明示している。 ダ.投資家•国家訴訟制( ISD )の国際的反対または修正の動き ( 1 )資本の保護のために登場した投資家 - 国家訴訟制が持つ積極的な動向を直視した多くの国は、最近になって、ますます投資家 - 国家訴訟制を排除した方式の投資協定を締結している。 ( 2 )政府が「グローバルスタンダード」と主張するISDに関連して、2013年
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2月、日本の自民党は、 TPP参加の前提条件として、 「ISD除外」を要求した。日本以外にもアメリカ議会、オーストラリア、インドなどは、 「自国のISD例外」や 「ISD廃棄の方針」をすでに明らかにしている。また、国連国際商取引法委員会は、 ISDの問題点の一つである 「不透明性」を解決するために、透明性のルールを設けている。
(翻訳 李洋秀 法律校正 岩月浩二)

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